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震災復興支援シンポジウム 国連生物多様性の10年と国際森林年を踏まえてー

震災復興に向けて〜今改めて、認識すべき『森』と『海』の連環〜

地球は、鉄の惑星

「先生に本格的な説明をしていただきました。窒素は水の中では硝酸塩というように形が変わる。燐は燐酸塩というように形が変わる。塩はイオンに置き換えてもいいんだと。

ようするに、水の中で耐えていると。でも、これを植物が吸収しようとするときに、水の中ではあっという間に酸素とくっついたりしてしまう。とにかく、こういった余分なものを取ってやらないと、窒素という形にしてやらないと植物は吸収できない。ついているモノを取ってやることを還元というんだと。

町に行くと、還元セールとか言って薬屋さんなどでは安売りをしているじゃないですか。あれは、お店が本来もうけなければいけないものを、その分お客さんに返すということを還元という言葉を使っているんだけど、本来は、酸素とくっつくことを酸化といって、これをとってやることを還元というんだと。この還元作用をするのは還元酵素だよ。還元酵素は触媒の形でどうしても鉄がいるんですね。

なぜ、わたしがすぐに理解できたかというと、気仙沼水産高校生産製造科というところに3年おったわけですが、水産の加工食品、それから缶詰めとか冷凍食品とか、そういうものを作る科におりました。

どうしても化学の基礎をやらなければならない。たとえば、大きな冷蔵庫を動かす免許を取るには、どうしても試験にガスの問題とかそういうことが出てくるんですね。気仙沼水産高校は、東京水産大学と同じレベルの免許を取るように指導していますから、高校の先生に科学の基礎をイヤというほどたたき込まれていたわけです。

だから、わたしは科学の基礎があったために、松永先生の話しがすっと頭のなかに入ってきたわけです。これは本質だなと、感じました。

それから、先生は、もっといろいろ勉強しなければいけないことがあって、それは地球の成り立ちとか太陽系の成り立ちにまでいく話しだと。陸地には比較的鉄は多いそうです、地球上には。

地球を構成している1/3は鉄でできている

地球は鉄の惑星と、普通言うけれども、それは正式には間違いだと。質量的には、質より目方ですね、質量的には鉄の惑星と言わなければいけないそうですね。地球を構成している1/3は鉄でできているそうです。

今から46億年前に地球ができました。それから地球が冷えてきて、雨が降りました。降った雨は酸性雨だそうです。地球に初めてできた海の成分は圧倒的に鉄分だったそうです。で、当時、地球には酸素がないものですから、酸素がなければ鉄は水に溶けちゃうわけですね。

『宮沢賢治はこう言っていただろう』

それから10億年たって地球上に光合成をする植物の元祖、シアノバクテリアが生まれます。これは簡単に言えば、CO2のCとO2を切り離すのが光合成というのだそうですが、Cはシアノバクテリア、植物プランクトンの元祖の体に取り入れられまして、O2は水の中の鉄とくっついてツブツブの粒子となって海の底に落ちるのだそうです。15億年かかって、海の中から鉄が全部取り除かれてしまった。だから、海には鉄がないんだと言われました。

今まで水産試験場の先生や今井先生からもそんな話しはまったく聞いたことがないわけですね。そういうわけでしたかということで、本当にびっくりしました。陸上の土の中には、地球は鉄の惑星だから、鉄はいっぱいあるから鉄不足にはならないわけですが、でも『宮沢賢治はこう言っていただろう』と。

宮沢賢治は宮城県出身ですが、冬になると農家の人たちに『赤松の崖のところにソリを引っ張っていって、土をスコップですくってそれを田んぼに運んで入れなさい』と言ったそうです。これを客土と言うそうです。赤土を入れるということは、鉄を入れるということなのだそうです。植木の木に釘を刺すのとソテツに釘を刺すのと同じことなんですね」。

『森と川と海とが一体になってリアス式海岸がある』

『仙台市の名物はいろいろあるけど、笹蒲鉾は有名だろう』とおしゃりました。どうしてだと質問をされました。先生は、『仙台湾の背景の山は赤っぽいだろう』と。鉄分が多い赤土だそうです。実は、この山の鉄分が仙台湾に流れ込んでいる。仙台湾はカレイがいっぱい獲れるところです。なぜかというと、海底が砂地だからだそうです。

それは、阿武隈川、名取川、七北田川、鳴瀬川、北上川という川がいっぱい流れていて砂が流れるから仙台湾の海底は砂地になるのだそうです。砂地にはカレイがいっぱいいるわけです。カレイの餌はなにかというと、砂地に潜って産卵するめろうど(イカナゴ)という魚がいるんです。春先にものすごく大量に獲れるんです。めろうどが育つには動物プランクトンがいりますよね。その砂地には動物プランクトンが育つには植物プランクトンが必要じゃないですか。そうすると、森林の腐葉土の中にある、ある成分と、鉄なんですけど、そしてそれは川を通って仙台湾に流れ込んでいる。

カレイが獲れてしょうがないから、昔は冷蔵庫がないから、スリコギで擦って混ぜて、板を切りぬいた型で整えて、焼いたんです。それが舌の形に似ていたもんですから、東北弁でベロ蒲鉾とずっと言っていたんですね。でも、ベロ蒲鉾じゃあネーミングが良くないから、伊達藩の家紋が竹に雀だから、それに因んで笹蒲鉾と名付けられたんです。こう説明しなければいけないわけです。先生のお話しは素人にも分かるようにお話してくれまして、もう少し説明してくれました。

鉄というのは酸素と出会うと酸化して粒子になってしまうから、なかなか海に届きづらいんだと。ところが、自然界は上手くできていて、森林の腐葉土ができるときにいろいろな有機酸ができるのですけど、その中でフルボ酸という酸ができるそうです。これは、土の中で水に溶けた鉄とイオンが結びついてフルボ酸鉄というものに変わるそうです。こうなると、後で酸素と出会っても鉄にはすでにフルボ酸がついていますから、このままの形で川から海に供給します。だから、宮城県の海は豊かで、有数の水産県であるのはそういう理由からだということを教わりました。

その上ですね、わたしたちの海はリアス式海岸です。このリアス式海岸の意味もよく知らないでいました。リアスという言葉はスペイン語でして、リアスのスは複数形で、リアの語源リオは川を表す言葉だそうです。つまり、複雑に入り組んでいる海岸は、はじめから海の波が削ってできたわけじゃなくて、もともとは川が削った谷底だということなんですよ。そして、海の水というのは、地球のその時の気温によって引っ込んだり、また入ってきたりしています。7,000〜8,000年前までは地球は寒かったわけですから、その頃の夏は雨が降りますから、雨がどんどん谷を削って谷がでていっている。

牡蛎の餌になる植物プランクトンがなぜあるのかというメカニズムのところまでは踏み込んでいなかった。

その頃、海は150メートルぐらい退いていたんです。ところが縄文時代になりまして、地球が温かくなりまして、海の水が増えてきました。縄文海進と言いますが、有名ですよね、そうして、このぎざぎざの海岸に後で海がゆっくり入り込んできた。『これがリアス式という意味だよ』と、教えてくれたんですね。

なるほどですね。小学校の先生は、『なぜリアス式海岸で牡蛎の養殖が盛んかというと、沖から波が入らないから筏を静かな海面に浮かべられる。だから牡蛎の養殖が盛んなのだ』としか教えてもらいませんでした。じゃあ、牡蛎の餌になる植物プランクトンがなぜあるのですか、というメカニズムのところまでは踏み込んでいなかったんですよね。

ところが、松永先生のお話しをお聞きして、森林の腐葉土のフルボ酸鉄が川から海へ流れ込んでいたわけですが、必ずリアス式海岸の背景には森と川と海とが一体になってリアス式という意味なんだよということが分かったわけですね。だから、いくら海面が静かでも川の流れがこなければ、牡蛎の漁場には適さないということなんです。

青々とした鹿児島湾よりも東京湾の方が30倍たくさん魚が獲れる。

もっと分かりやすい例、東京湾と鹿児島湾を比べれば分かりやすいということも教えていただきました。湾の面積はほとんど同じですね。青々とした海とあまりきれいとは言えない東京湾と、どちらがたくさん魚が獲れるかという質問を子どもたちにすると、青い海がいいに決まっているから、100人が100人、子どもは、『鹿児島湾だ』と言います。

バツです。どのぐらいバツかというと、30倍バツですね。汚れている東京湾は(鹿児島湾の)30倍たくさん魚が獲れます。なぜかといいますと、鹿児島湾は火山の爆発でできた湾ですから、大きな川が流れ込んでいません。東京湾は川だらけじゃないですか。ちょっと数えてみると16も川がある。この巨大な東京湾が2年で水が入れ替わるぐらい水が流れ込んでいる。この川の背景は武蔵野の雑木林じゃないですか。ここからフルボ酸鉄が東京湾に注いでいるから江戸前の鮨ネタが獲れると、説明しなければいけないんですよ」。

連載第1回

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連載第4回(近日公開)

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